筑後の中心で多彩な“ほとめき”を発見 久留米駅長に「久留米」のきほんを学ぼう!
運行まで半年を切った地域を味わう旅列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」。この列車が走る西鉄天神大牟田線沿線に目を向けてみると、地元の人にとっても、新鮮な魅力に溢れるスポットがあちらこちらに隠れています。
今回注目するのは、路線図のちょうど中間に位置する「西鉄久留米」駅。ラーメンや焼き鳥などバラエティ豊かなグルメや日本有数の酒どころとしても有名ですが、そのほかにも筑後川沿いのダイナミックな景色や昔ながらの商店街、独自の感性が光る美術館など、見どころが満載です。どこから楽しめば良いのか、久留米駅長がこの街の特色をお教えします。
[案内する人]
田中義司駅長
自身も久留米市出身のため通学、通勤、遊びなど、さまざまな場面で西鉄電車のヘビーユーザーでもあったそう。西日本鉄道には1982年に入社。乗務員の経験を経て運転指令所にて運行管理業務など鉄道一筋で、2年前から久留米駅の駅長として勤務中。
グルメや街歩き、ローカル線の小旅行と
訪れるたびに違う楽しみを見つけて
―久留米といえば、「おもてなし」という意味の筑後地方の方言「ほとめき」の街というキャッチコピーが有名ですね。
田中駅長 久留米自体、天神、大牟田だけでなく、佐賀や熊本にも近いんです。筑後川には船運もあり、昔から交通の要所として栄えてきました。県外からも多くの人が訪れていたので、久留米にはおもてなしの心が根付いたのかもしれませんね。
―今ではB級グルメや焼き鳥などのイベントでもにぎわっています。久留米市出身の田中さんは、地元でどんな風に過ごしていらしたのですか?
田中駅長 学生時代は親戚の家へ行く時とか、買い物をする時とか、月の終わりに久留米駅ビルの飲食店にご飯を食べに行くのも楽しみにしていました。西鉄久留米駅を中心に、一番街やあけぼの商店街(今のシティプラザ付近)までは人がかなり回遊していたんですよ。
―最近の駅周辺や商店街など、はどうですか。
田中駅長 アーケードの中にはおしゃれなカフェなどもできているし、大きなイベント広場もあるので、さまざまな年代の人に利用されていますね。それに、あの辺は路地裏に入るとレトロな飲食店も多くて、今も昭和の情緒が残っていますよ。
―それは行ってみたい! 食べ歩きなども楽しめそうですね。
田中駅長 西鉄では、久留米駅のおいしいものの食べ比べてができる「くるくる久留米きっぷ」を販売しています。電車往復乗車券と久留米の飲食店で使える2000円分のチケットがセットになっています。久留米市と連携して企画した切符で、久留米名物の豚骨ラーメン、焼き鳥、スイーツのお店など約40店が参加しています。
―久留米の新たな楽しみ方を提案する試みですね。
田中駅長 他にも、電車の往復乗車券に、西鉄バスの往復乗車券と久留米市美術館入館券とカフェ利用券が付いた「久留米 花と美術館散策きっぷ」があり、これも人気です。久留米市美術館は、久留米駅からバスで5分の場所にある石橋文化センター内にあるのですが、地元を中心に九州の洋画が充実していてかなり見応えがあります。それに石橋文化センターには、日本庭園やバラ園、ツバキ園など季節の花々も楽しめるんですよ。
石橋文化センターは、株式会社ブリヂストンの創業者である石橋正二郎氏が寄贈されたもの。アート散策とあわせて、ブリジストン創業の地である久留米のを感じることができます。
―久留米は、実は、酒どころでもありますよね?
田中駅長 そうそう、久留米市の酒蔵数は全国で第三位です。、城島町で毎年2月に開催される「蔵開き」は好評ですし、最近は甘木線方面の酒蔵でも蔵開が開催され、徐々にお客さんが増えています。大刀洗町の酒蔵「みいの寿」さんのお酒は、漫画の影響もあり海外でも話題になっているそうですよ。
―お酒好きな方なら見逃せないイベントですね。最近は久留米駅から甘木線へ乗り換えておでかけする人も多いとか。
田中駅長 確かに、ローカル線の旅を満喫される方も増えています。筑後平野の広々とした景色は爽快感がありますし、新鮮な野菜やフルーツを使ったグルメに、駅から歩いて1分の温泉と、一日中楽しめますよ。西鉄電車の往復乗車券に、天神大牟田線(西鉄小郡駅?宮の陣駅)と甘木線、甘木鉄道が一日乗り放題になる「あまぎぐるりんフリーきっぷ」をご用意していますので、色々回って楽しんでいただきたいですね。
―ほかにオススメのエリアはありますか?
田中駅長 久留米駅から田主丸や八女に足を伸ばす方も多いです。周辺には散策にぴったりのエリアもありますよ。
田主丸は、苗木産業や果樹栽培が盛んで、緑豊かな場所に素敵なカフェや店舗が点在しています。八女は伝統的な建造物が多く残る福島エリアや、美しい茶畑が広がる山間のエリアなど、こちらも奥深い魅力を秘めた場所です。
―久留米市内にも、その周辺にもたくさんの魅力がありますね。西鉄久留米駅はそういう場所の中心にあたるわけですが、駅では、おもてなしに向けた取り組みを考えていらっしゃるとか。
田中駅長 そうですね。市のイベントやシティプラザの情報を入手して案内に生かしていますし、西鉄久留米駅のビルやバス、タクシー、スーパーとも連携を取っています。もともと久留米はアクセスも良く、医療体制も充実している住みやすい土地です。利用される方の中には、車の運転が難しい高齢の方も多いですし、初めて久留米を訪れる観光のお客様もこれから増えるでしょう。そんな方々のためにも、「やさしい駅」である必要があると感じています。案内板の充実に加えて、日頃からお足元を見守ったり、声をかけたりという心配りができる駅でありたいですね。
古き良き商店街と個性派ショップが並ぶ町
久留米のニューウェーブを巡ってみよう!
口コミやネットも参考にしながら、「自分で見つけた情報も発信していきたい」と、常に駅周辺の情報にアンテナを張っている田中駅長のおすすめスポットはこちら。
水月堂堤匠庵(すいげつどうていしょうあん)
「西鉄久留米駅のすぐそばにある昔ながらの和菓子店です。名物は最中「塩屋の娘」。北海道産小豆で作るあんを求肥でくるんでパリパリのせんべいで挟んでいます。あんには黒糖が入っていて、すっきりとした甘さなので、ついつい2個3個と食べてしまいます。あと、「チーズ饅頭」もおすすめです。チーズの塩気と白あんの優しい甘さが絶妙です。
久留米アリーナ
「久留米駅から1駅の櫛原駅の近くで6/2にオープンした九州最大級の延べ床面積を誇る総合体育館なんですよ。今後は大きなスポーツ大会が開催されることで、また新たな人の流れができるのかなと期待しています。櫛原駅のフォローにも力を入れたいです」
その他おすすめのスポットはこちら
COFFEE COUNTY(コーヒーカウンティ)
路地裏からただようコーヒーの香りに足を止めると、一軒の焙煎所・コーヒースタンドが。店頭で大きな焙煎機と静かに向き合うオーナーの森さんは、コーヒー産地で実際に働き、出店後も世界各国のコーヒー農家に出向いて豆を吟味しています。季節により産地や種類は変更しますが、じっくりとコクと余韻が味わえる深煎りから、軽やかですっきりとした浅煎りまで約5種類のおすすめがいただけます。「自分好みの味に出会って欲しい」と豆の旨味を引き出した個性豊かなコーヒーは、飲み比べてみるのも楽しい。
Mekuruto(メクルト)
福岡移住計画と久留米移住計画の共同運営で2018年1月にオープンしたシェアオフィス。レトロなビルの一室をリノベーションしたスタイリッシュなデザインは感性豊かなクリエイターの間で早くも話題です。広々とした共同スペースもあり、利用者同士でもすぐに打ち解けあえるのもこちらの特徴。新たなビジネスへとつながることも少なくないそうです。また、スタートアップも支援しているので、月契約とは別に1時間500円で利用も可能。独立までのお試しで利用する人も多いそうですよ。
[INFORMATION]
■水月堂堤匠庵(すいげつどうていしょうあん)
住所:久留米市天神町68-3(MAP)
電話番号:0942-32-6012
営業時間:8:30~19:00、日曜・祝日?17:00
定休日:日曜・祝日不定
■久留米アリーナ
住所:久留米市東櫛原町170-1(MAP)
電話番号:0942-39-7371
営業時間:9:00?21:00
HP:https://kurume-sports-center.jp
■COFFEE COUNTY(コーヒーカウンティ)
住所:久留米市蛍川町10-5(MAP)
電話番号:0942-27-9499
営業時間:11:00~18:00
HP:http://coffeecounty.cc
■Mekuruto(メクルト)
住所:久留米市中央町11-1 第一田中ビル2階(MAP)
Mail:info@mekuruto.com
HP: https://mekuruto.com