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2019.2.1

歴史、自然環境、そして徹底した栽培法が生み出した日本が誇る八女茶

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福岡県東南部、筑後エリアの南に位置する八女は、日本茶(緑茶)の産地としても名高い地域です。特に玉露は質と量ともに日本一を誇り、「八女伝統本玉露」や「八女玉露」としても全国に出荷されているのをご存知ですか?

玉露とは、日本茶の種類のひとつ。その特徴は何と言っても、茶の葉に当たる日光の量を制限するために覆いをかぶせたり、葉を手摘みするといった手間をかけた栽培・収穫方法にあります。そもそも日本茶も紅茶も烏龍茶も、収穫する茶葉は同じもの。その差は発酵の違いです。熱を加えることで発酵は止まりますが、蒸したり炒ったりすることで発酵させなかったもの(不発酵茶)を日本茶と呼びます。日本茶はさらに、茶葉の育て方や発酵を止める製法の違いで抹茶やほうじ茶、番茶などたくさんの種類に分けられており、私たちが飲んでいるいわゆる緑茶は、煎茶であることが多いのです。ちなみに発酵を途中で止めたもの(半発酵茶)を烏龍茶、完全に発酵させたもの(発酵茶)が紅茶となります。

日本茶の発祥は諸説ありますが、1191年、中国の宋に学んだ禅宗の僧・栄西が、筑前背振山に茶種を蒔き、現在の博多区に聖福寺を建立して境内にも茶の木を植えたのがその始まりと言われています。

八女茶の起源は、応永年間(室町時代)。僧・周瑞(しゅうずい)が筑後国に霊巌寺を建立し、茶の製法を伝えたことによるとされています。安土桃山時代までは集落ごとの少量生産でしたが、庶民の生活にお茶が広がるにつれて生産量と地域が拡大。江戸時代末期にお茶が輸出されるようになると生産はさらに盛んになり、大正時代末期には八女市全域に広がりました。現在は、約2200戸の農家がお茶の生産に携わっています。

そんな八女のお茶を語る上で欠かせないのが、九州最大の河川である筑後川と、矢部川です。筑後地方の南東部に位置する八女は、この二つの川に挟まれるように位置しているため、昔からの川の氾濫が育んできた肥沃な土壌に加え、川から立ち上る霧が適度に太陽の光を遮り、味が濃厚で旨みと甘みが豊かな茶葉が育ちます。豊富な雨量や、昼夜の温度差、高温多湿のなだらかな山々は、良質なお茶の栽培にはうってつけなのです。

その栽培法も独特です。八女茶は、茶の芽を減らすことで一枚の葉を大きく育て、品質の良いお茶を作る方法を採用しています。茶葉の収穫は、新茶、二番茶、三番茶……そして番茶と、年に何度か行われるのが一般的ですが、ほとんどの農家が二番茶で収穫を終えるのも八女ならでは。そうすることで茶木がしっかりと養分を蓄え、旨みに溢れる良質な茶葉が育つのです。特に玉露の栽培では、化繊のネットで覆い日光を遮るのが主流になっている今、八女では現在でも稲わらを使用して被覆し、手摘みで収穫するという栽培法を貫いています。

長年の歴史、恵まれた自然環境、そして徹底した栽培法が守られているからこそ、八女茶が日本を代表するお茶として輝き続けているのかもしれません。

取材協力/画像提供:JAふくおか八女

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