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2020.2.17

初摘みオリーブだけの美味しさを塩漬けで うきはオリーブ部会の「新漬けオリーブ」

ヒト

地域を味わう旅列車『THE RAIL KICHEN CHIKUGO』では、主に筑後地域で作られている旬の素材を使用しています。そのひとつが、冬メニューのアミューズで提供しているうきは市産の「新漬けオリーブ」。秋に収穫した完熟前のオリーブ果実を塩だけでシンプルに漬け込んだものです。エメラルドグリーンに輝く新漬けのオリーブは、口に含むとフレッシュな香りと、旨味たっぷりの果汁がじゅわっと広がって、生ハムやワインとの相性も抜群。熟したブラックオリーブの塩漬けとはまた違う、カリッとした食感と果実の爽やかな味わいが楽しめます。
今回ご紹介するのは、うきは市でオリーブの栽培から収穫、加工までを手掛けている「うきはオリーブ部会」の皆さん。秋におこなわれた新漬け用オリーブの収穫にお邪魔しました。

5年の歳月をかけ、やっと実ったオリーブ栽培

どこまでも広がる大空と豊かな田園、屏風のように東西に伸びる耳納連山。フルーツの里として知られるうきは市では、11年前から耕作放棄地の有効活用としてオリーブ栽培に取り組んできました。オリーブといえば、地中海沿岸や小豆島など海沿いの乾燥地域で栽培されているイメージが強く、うきは市のような内陸部で栽培をするというのはかなり珍しいことだったそうです。
「市からの勧めでオリーブを植えてみたものの、最初の5年は枯れてしまったり、育ったものの全く実がつかなかったりと、収穫はほとんどゼロ。必死で国内外からデータを集めて、オリーブ栽培を一から学びました」と話してくださったのは、うきはオリーブ部会会長の藤田さん。オリーブはとても繊細な木。心配り気配りをしないと、虫がついたり病気になったりしてしまうといいます。
何千種類もあるオリーブの品種の中から、うきは市の風土に合っているものを探し周った藤田さんは、試行錯誤の末、6~10種類ほどの品種に絞って栽培を続けました。5年目にしてその努力はようやく実を結び、やっと製品化に成功。さらに5年後の2019年3月には「日本オリーブオイル品評会」で銀賞を受賞するほどの、高品質のオリーブオイルを搾油できるほどになったのです。
今ではうきは市の特産として、すっかり定着しつつあるオリーブ。現在、約45名のオリーブ部会の皆さんが市内各地で約3500本のオリーブを栽培されています。

うきはオリーブ部会会長の藤田光彦さん。オリーブの他に、柿や椿も栽培されている果樹栽培のエキスパートです。

新漬けに使われるのは、まだまだ青い果実だけ

オリーブは、6月に乳白色の小さな花を咲かせた後、夏の間に緑色の実が成長。秋分の日が過ぎた頃から収穫がはじまります。新漬け用の収穫が行われるのは、9月末から10月初旬の数週間だけ。果実の色が、鮮やかな緑色から黒紫色に熟す前のわずかな期間でしか収穫できません。
「初摘みのオリーブは食感がいいし、何よりフレッシュで瑞々しい。完熟するにつれて油分が増えてしまうので、緑色のものだけを選んで摘み取るんです」と藤田さん。気をつけるのは色だけではありません。「果実ごと食べられるように実が大きくないといけないし、漬けた後まで食感が残るように少し硬さがあることも大事ですね」。4m以上はある大きなオリーブの木から、新漬けに適した色、大きさ、硬さの果実だけを見極め、一つひとつ手で摘んでいきます。「傷がつかないよう丁寧に摘まんといかんから、結構気を使いますね」。
新漬けはフレッシュさが命。午前中のうちに収穫したオリーブ果実は、鮮度が落ちないうちに加工場へと持ち込み、洗浄と渋抜きをします。何度も水を変えた後、塩分濃度を徐々に上げていきながら塩水に漬け込み、瓶詰めにして11月ごろに出荷します。

オリーブ部会の皆さんがお互いに協力し合って、市内に点在するオリーブ園での収穫をしていきます。

美味しい新漬けに変身できるのは、ぷっくりと太った緑の果実だけ。

昨年7月にオープンしたばかりの加工場「うきは6次産業化研究開発・事業化支援センター」。クリーンルームも備えた衛生的かつ機能的な環境の中で、生産者さん達が自由に加工品を作られています。

うきはの魅力をもっと伝えたい

うきはオリーブ部会では、今回ご紹介した「新漬け」の他に、手摘みで収穫したオリーブを24時間以内に搾油した「うきは産100%のピュアバージンオリーブオイル」や、「オリーブ茶」「オリーブかりんとう」などの加工品を生産されています。
「観光列車のお話をいただいてから、部会のみなさんの仕事にハリと活力が出たような気がしています。福岡県でオリーブが作られているっていうのは、乗車された皆さんにとってきっとサプライズだと思うんです。うきはのオリーブを味わっていただいて、うきはのことを少しでも多くの方に知っていただきたい。そして喜んでいただけたら、それが一番嬉しいですね」。

小さな一粒から広がった、うきは市の大きな可能性。『THE RAIL KITCHEN CHIKUGO』でオリーブの新漬けを口にされた際には、ぜひ、うきはの青空の下に広がるオリーブ園に想いを馳せていただけたらと思います。

10月初旬には塩漬け用の緑色の実を、10月下旬にはオイル用の熟した黒紫色の実を収穫します。

うきは産オリーブ100%の「エキストラバージンオリーブオイル」は、ふるさと納税の返礼品としても人気。うきは市内の道の駅などでも販売されています。

[INFORMATION]
取り扱い場所:JAにじ農産物直売所「にじの耳納の里」・道の駅うきは など
問い合わせ:0943-76-9059(うきは市 うきはブランド推進課)

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