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2018.11.30

早生温州みかんの代表格「宮川早生」発展のルーツは大牟田にあり。立花家伯爵が始めたみかん栽培の歴史とは。

コト

世界遺産の一つに登録された炭鉱関連施設をはじめ、明治時代の近代化に貢献し、工業都市として発展してきた大牟田市。実は農業の分野にも功績を残した、歴史あるみかん農園「橘香園」があります。

そのはじまりは明治維新後のこと。柳川藩(現柳川市と一部の現大牟田市を含む)をおさめていた立花家の14代目が、職を失った武士のために、農業での地域振興を見据えて日本初の民営農事試験場を柳川市に設立します。明治終盤、早く熟れる温州みかんがこの農事試験場近くで発見され、その発見者の名前をとって「宮川早生」と命名されました。日本初の早生みかんの誕生です。
立花家15代目は“宮川早生普及”のためにモデル園として、近辺で一番栽培環境の良い大牟田市上内地区の山地を開墾し、昭和11年に「橘香園」を開園します。広大な敷地には、かつて熊本城築城も手がけた石工が作ったという石垣が段をなして並びます。その佇まいは整然と美しいだけでなく、土壌の流出を防ぎ、水はけを良くする機能的な役割を果たしています。
宮川早生はその後、「上内みかん」や「山川みかん」のように各地の名を冠したブランドみかんとして広がり、味や栽培のしやすさから、いまや全国の大半を占める早生品種となりました。

現在、橘香園で栽培する温州みかんは、極早生、早生、普通温州の3種類です。他にもオレンジなどがありますが、おすすめはやはり宮川早生。「これに代わる品種は未だ見つからない」と語るのは、立花家17代目で橘香園三代目の立花民雄さん。橘香園で栽培する温州みかんは、外皮と薄皮とも薄く食べやすいこと、広大な段々畑でのびのびと太陽と潮風を浴びて甘くなり、ほどよい酸味があることが特徴です。
そんな橘香園のみかんを一年中味わえる100%ストレート『蜜柑搾り』は、立花さんが太鼓判を押す逸品です。一般的に、加工品には色や形の劣るB級品が使用されることが多い中、橘香園で収穫されたそのままでも販売できる一級品を皮も丸ごと絞り、香りやオイル分も含ませることで味わい深く仕上げているそう。贈答品としてもおすすめしたい贅沢なジュースです。

※温州みかんは出荷の時期により、極早生(9~10月頃)、早生(10~12月頃)、中生(11~12月頃)、晩生(1月以降)の4つのタイプに分かれます。宮川早生は早生品種の1つです。

「橘香園は”宮川早生の普及”という当時の役目は終えました。これからは地域にとってもう一度お役に立てる畑にしたい」と、時代を経ても世のため人のためという考えを大事にされている立花さん。現在橘香園のみかん畑の一部はBBQ台を整備するなどして開放し、みかんを生産する場所から花見やレジャーが楽しめるスポットとしても活用の幅を広げています。 段々畑でコンサートをひらいたり、以前は貯蔵庫だったキッチン付の建屋を料理教室や農家レストランができるように貸したり、と、尽きぬ夢を語ってくださいました。
長きに渡って守られ、大事に手入れされ、受け継がれてきた広大なみかん畑の澄んだ空気と美しい風景に囲まれながら、ゆったりと休日を過ごしてみてはいかがでしょう。

[INFORMATION]
■橘香園
住所:〒837-0902福岡県大牟田市上内2987 (MAP
電話番号:0944-58-0102
営業時間:10:00〜16:00

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